昨日は待ちに待った『誕生と成長の家』の建前でした。
建て主Aさんのご挨拶で建前がスタート!
待ちに待ったこの日の感想は?さて如何ばかりかと聞いてみたところ、「もう建前が終わってしまうのかと・・」と思っているとの事。もう既に分かれ難き家づくりの様相で(笑)、200%この家づくりを楽しんでいる様子。一瞬一瞬が楽しみでもあり、また同時にひとつの工程が終わっていっているという寂しさも感じているみたい(笑)。
そんな様子の施主さんに、建てる側の人間としては、これ以上に有難く嬉しいことはありません。
お神酒をみんなで頂いて、棟梁の松本さんが段取りを伝え、建前が始まりました。
今回は、石場建て伝統構法の建前に関わるのが初めての大工さんばかりだから、野の草としてはとても新鮮な感じです♪
『三津くらら』を手掛けてくれた藤井建設の藤井さんも助っ人に来てくれたので、何軒か関わってくれた経験者としては心強い。
そう言っても棟梁の松本さんのほうは入念な準備に万全の構えといった感じ、かなり落ち着いた様子での立ち居振る舞いで腹が据わってます!
貫の1本1本にも番付けされていました。
見えなくなるところまで、ほんとうにありがたい仕事。
建前では、棟梁それぞれの建舞が出てくるので、いつもそこを楽しみに肌で感じます。
松本さんはひとつひとつ自分で納得確認しながら進める建舞。
材の段取りから、建て方の指示、そしてカケヤを振ってと、他の大工さんと共に棟梁自らがどんどん率先して動いて指揮をしてと、目が廻らないだろうか・・と思ったのですが、そこは松本棟梁らしい淡々としたペースで急いて作業するわけでなく。木材を刻むときも確かにそうだったように、松本棟梁ペースで誠実に進んでいっているんだなと、安心感を覚えました。
そして石場建て伝統構法での建前は、もう何軒目にもなるけど本当に見飽きることのない美しさにいつも感動しっぱなしです。今回も都度都度が美しくて、シャッターを押しっぱなしの私(笑)。
組みあがっていくのを見ていると、その丈夫さや力強さを同時に肌で感じ、この家づくりをやっていて本当に良かったとしみじみ感じます。
長く家を支えていくためにドッシリ・ガッシリとしたその空気感は半端なく、現代の家づくりが失ってしまったところです。
在来工法と大きく違うその足元は、石の上に建ち、地面から浮いたような造りで、大きな足固め材がぐるりと柱をつなぎます。またその足固め材も大きな梁のような大引き材が格子状に組み合わさることで、床として固まって一体となっていきます。
1階の床を支える足固め材や大引き材は、普通の家の2階建ての床梁のように大きなサイズです。
地震がきてもそう簡単にペッシャリとつぶれることが無さそうなのが伝統構法でもあります。
そのうえで万が一、予測を超えるような力が掛かっても、石のうえで動くことができる余地がのこっているというのは、何よりの安心感。この空気感を一度味わってしまうと、在来工法での家づくりに二度ともどれなくなった・・野の草です(笑)。
でもきっとこの何度体感しても飽きることのない・・心の底から感じる・・というのは、きっとそこに本物だからこその力があるのだ・・と感じています♪
請ける大工さんは簡単な仕事ではないから半端なく大変ですが・・、やっぱり遺していきたい家づくりをいつもそこに感じます。
建前をしている横では建て主さんがお昼の準備です。
現場で手づくりホルモンうどん焼きをしてくれています。
こういったお振る舞いは建て主さんごとで心尽くしてくれます。
手間もかかって手づくりは大変だったかと思いますが、とっても美味しかったです!
これもまた心にのこる思い出ですね♪
伝統構法の建前が初めての大工さんたちも時間と共に段取りを少しずつ理解してくれて最初は右往左往だったのも、だんだんと一丸となって「これを入れたら次はこれやね」っと、パズルのような組み方に慣れてきたようでした。
棟梁も初めてのことばかりで大変だったのではないかと思うのですが、各所の差し口も難なくキッチリと綺麗に納まって、問題に感じることも何もなく、万全に刻みをしてきてくれたのだと感じました。
↑登り合掌梁、設計図に『登り合掌』と書けても、私設計士は刻めません・・。。
そしてこの家の背骨になる部分『牛木』に、建て主さんたちに記念として一筆書いていただきました。
100年先までもつように造る家ですから、100年先の子供たちに、気がつくかな?
愛をこめて建てた家、きっと100年先も、建てた人のことを想ってこの家を大切にしていってくれるような気がします♪
そして棟が無事あがりました。
「上棟式はやったほうがいい」という棟梁のすすめで上棟式を執り行うことに。
棟には、棟があがったことを示す五色の旗があがりました。これを見て建て主の奥様はウルウル(涙)。
ここまでの道のりなど頭をめぐり、感無量な感がありますね♪
旗の五色は、宇宙の森羅万象を現した五元素「木火土金水」の象徴でもあり、この地で上棟を迎えることが出来た全てのことを感謝し森羅万象をつかさどる神々に敬意をしめすことでもあります。
わたしたち人間が、人間だけの力で生きているわけではない、すべてのものに生かされ、今日の日を迎えれたという感謝。
日本人としての心をそこに感じます。
「木火土金水」はまさに伝統構法の家そのものですね!
お若いのに棟梁は神事や祝詞も神主さん並みに立派にこなされるのには、正直びっくりしました。
その心、大事ですね。まさに心技体はひとつですから♪
心あってはじめて形ができるのです。。
松本さんの誠実な仕事ぶりはそこにあるのだな、っとちょっと納得しました。
これからの工事の安全を祈願し、参集する皆皆さんの御加護をお祈りして乾杯!
建て主旦那さんもウルウル(涙)。
最後に建て主さんよりお礼のご挨拶があり、本日の素晴らしい建前・上棟を無事終了しました。
松本さんが準備をしてくださった棟札。
長いことやってきたけど、棟札に名前を書いていただいたのは初めてかも。←っと気がつきました。
棟札いいですね。100年先、この家がどんな風に評価されその時代にあるのかは分かりませんが、
名に恥じない仕事をしていきましょう♪
名前をのこすという事に、そんな事を感じました。。
さあ、『誕生と成長の家』ひきつづき、力を尽くしていきましょう♪
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