昔ながらの家づくり

 

自然素材で手間のかかる伝統構法による昔ながらの家づくり、一般的な工法よりどうしても割高になりがちです。
30年持てば良いという家づくりではなく、100年持たせていこうとする家づくりですからその償却年数から言えば当然のことではあります。
しかし伝統構法による家づくりは瀕死の状態・・。誰もが建てられるように手の届くものにしていかなければいずれ消えていくことにもなります。そこで野の草設計室は伝統構法での工事に関してのみ、一般的な工務店さんに工事を依頼する選択肢ともう一つ、『施主直営工事』を選択肢として家づくりをおこなっております。
『施主直営工事』とは、工事をどこかに一式でお任せする方法でない、昔ながらの家づくりのように建て主さん自身が積極的に家づくりに関わりあっていく建築方式であり、各職人さんと直接、工事契約を結んで工事を進めていく方式になります。

 
 

『施主直営工事』は新しい選択肢

『施主直営工事』は工務店さんが介在しないため、建て主さん自身が工事遂行のための見積~完成までの仕事を自身でおこなわなければいけません。
しかし現実的には専門的知識や現場経験のない者がそれをおこなう事は不可能です。
そういった一連の仕事を建て主さんの代理となって野の草設計室がサポートをおこない『施主直営工事』による家づくりを実現していきます。ただし建て主さん自身も積極的に家づくりに関わっていこうとする人でないと、直営の満足は味わえません。
お茶出しや職人の工場に訪れて労をねぎらったりすることは野の草には務まらない施主としてのもっとも大切な仕事と言えるからです。職人さんをやる気にさせるのは建て主さん自身に他ならないからです。

『施主直営工事』による工事費は、野の草のサポート費を含めて総工事費の1割~2割のコストダウンになり、工事費の原価を知ることになります。
含み益のない透明な工事費を知ることで「何に幾ら掛かるか?」という自分たちの要望に対する金額の価値というものを、建て主さん自身で見極めやすくなります。またコストダウンとなる分を個々の職人さん達に良質な仕事に取り組む為の費用として充てられます。それはひいては建て主さん自身の為に繋がっていくと考えます。
大切なこととして、『施主直営工事』はあくまでも良質な家づくりをしていくための適正な対価を支払うものとして建て主さんの金銭負担を少しでも軽くし実現するための有効な手段という事です。安さばかりを目的とする『施主直営工事』のお手伝いは、野の草としては行ってはおりません。またそういった工事には多くの問題が発生します。
建て主さんが自分の利益ばかりを追求し始めると、施主・職人・設計者のチームとしての関係は崩れるからです。

『施主直営工事』は施主・職人・設計者のチームによる家づくりがベースの考えです。
個々の職人さんと建て主さんは一般的な建築より深い関係となっていきます。そんな関係のなかから時として一生涯お付き合いをしていく関係性へと発展すれば、野の草としてはこれ以上にのぞむ事はありません。
法律や保証が決めた冷たい関係ではなくです。
喜びが喜びを生み輪となっていくために、お互いがお互いのためを想っていく事こそ大切です。『施主直営工事』は、貴重になりつつある伝統技術やそれを下支えしている人たちの生活を繋いでいき、この伝統構法による家づくりを未来へと繋ぎ応援していこうという意義をもったものでありたいと思います。

 
 

家も完成し、良い家づくりが出来たほど、別れ際は寂しいものです。
造り手も住まい手もたくさんの思い出が胸にいっぱいあるからです。
野の草設計室は、多くの他の建築現場を見てきて、職人が嘆くような工事が普通に存在し、それが施主の為、職人の為にはならない事や、本来職人とは施主の顔を見て仕事をするものなのに元請け(ハウスメーカーや工務店)さんの顔色を伺ってしか仕事をしていない現状を多く感じてきました。
造り手と住まい手が昔のようにもっと身近にあり「ご飯でも食べて帰りや」と言えるような、お金だけの関係ではない家づくりをとり戻せないかと思い、昔ながらの顔が見える繋がる関係で家づくりを続けてきました。
施主直営により、住まい手がお任せでなく家づくりの現場に通い始めたことで、住まい手と造り手の会話がはじまり関係が変わりました。造り手は住まい手の声や喜びを聞き、住まい手は造り手の我が家に込められた仕事の中身や意味を知ることになりました。
伝統構法の現場は、多くの職人に支えられ、また表舞台に出てこない職人も多く存在します。そのどれもが必要不可欠な存在です。施主直営で住まい手自身が一歩お任せという立場から深く家づくりに関わりはじめることで、自分自身の家の知識を深め、また職人さんたちが置かれている現状をも知っていくことになり、それは有意義なことです。
野の草はサポートを通して、彼らの仕事を知ってもらう事や使っていく事、声を届ける事で、少しでも未来がよき方向に変わるように願っています。

 
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