終わりました。。

 

3日間に渡る見学会とお話会が無事終わりました。。
たくさんの方々に見ていただけて野の草としても、これでやっと一仕事をやり終えたような気分です。
家をつくることも大切ですが、本当に大切なのは、きちんと伝えていくこと。
その道に携わる造り手として、何が大切であるかということを。
伝統構法という先人たちが遺したものの尊さを知っていただくことも一つ、そして何より人が生き物らしく住まうことのできる家とは何か?ということを、お伝えしていくことが必要です。

いま国は、省エネ法を盾にして季節を肌で感じることのない家をおしつけて普及義務化していこうと水面下で動いております。冬はTシャツ1枚でも暖かく、夏は汗をかくことのない全部屋空調コントロールされたような性能型住宅の義務化へ・・。
でも大切なのって、そこですか?
人が人らしく、五感という感性をもった生き物として、住まうための家。
冬は少々の寒さがあることで火のあたたかみや家族で集い暖をとる楽しさを知ることができ、夏は空調ではえられない風の心地よさを知り、汗をたっぷりかいて食べるスイカやかき氷やそーめんなど旬の食事を美味しいと感じることができる。
四季のある日本で暮らしの工夫をしながら、暑い寒いも自然とうまく付き合い知恵をつけながら暮らしていくことの大切さ。
そして人の手をとおして生み出されたもの、自然の素材だからこその温かみ、肌触り、そして心地よさを感じて暮らすことの本当の豊かさを。
ご体感していただければと思いました。


毎年見学会をする度に肌で感じることとして、木組みと土壁による伝統構法の家づくりへの関心が高まっていっているように感じます。
何かいまの社会の息苦しさや行き詰まり感を感じている人が多く、すこしずつ本当の豊かさに目をむけていこうとご参加された方が多いです。
遠く東京から、近県から、地元から、大工さんや設計士さん工務店さんも。

↑愛媛大学の省エネや環境を学んでいる留学生さんたちも見学に来てくれました。
短時間でお話をさせて頂きましたが、その土地の風土で育まれてきたものには尊い素晴らしい意味があること、その土地の素材や技術をいかし、それぞれに自国の伝統文化を愛し大切にしてくださいとお話をさせて頂きました。
「学生が結構興味深く説明を聞いてとても感心していました。sustainabilityのことだけではなく、デザインの美しさも印象的だったそうです。自分の国に帰ってそれぞれの伝統的な知恵を掘り出す価値があると言うことも気づいたと思います。」と先生よりお返事をいただき、こちらもお伝えできて良かったと感じました。

↑『誕生と成長の家』のお施主様もご友人に家についてご説明されてました。
どんなことを話しているのかな?と気になりましたが、家づくりで知ってきたことをお施主さまなりにお伝えされているようで、野の草としても心強くそして嬉かった光景です。
見学会会期中はお施主様ともどもご説明にあたり、一緒になってお伝えしました。

また会期中には、大三島在住の鍛造家・山田幸一郎さんと『住まいと美』についてのお話会をおこないました。
言語では表現しきれない『美』の世界について、でも感性にうったえ心の豊かさにつながるところでもあるので一度みなさんと語り合いたかったテーマのひとつ、美しい作品を生み出される山田さんを通して触れることができました。
目にみえないものに触れ、そこにあるキラキラ輝くようなものに触れるとき心が充足されるような喜びがあります。これからはこの目にみえないものを感じる時代だと言えます。
日本人の心に宿る美意識を、もっともっと呼び起こしていきたい気持ちになりました。


そして見学会最中とは思えぬ初の光景。
お施主さまがお昼ご飯をと・・、見学会最中にお台所にたつ姿。お忙しいのにありがとうございました。これまた忘れられない光景のひとつとなりました。嬉しかったです。

お話会では野の草もお弁当をつくりました!
交通不便で飲食する手近なところがなかったため。
でもこれはちょっとご飯の量を間違えてしまい味付けが濃かった・・・食べていただいた皆さん、ごめんなさい~!
ときには失敗もつきものの野の草の見学会です・・(汗)。

出会いと新たな門出。
通りがかりで出会った『土間と風の家』、心に仕舞っていた大工になる夢をめざすこととなった彼。
『誕生と成長の家』でも荒壁づけにお手伝いに来てくれ、みんなで行く末が心配で、どちらかと言うと厳しい現実を叩きつけたのだけど、それでも結果的に最高に素晴らしい道を自分で探し出して新たな門出に。
関わった『土間と風の家』と『誕生と成長の家』のお施主様ともども嬉しくって激励の場面、こちらまで幸せになるような会期中の光景でした。

一軒一軒のひとしずくが、小さくとも集まって波紋となっていく。。
やっぱりいつもながら幸せと喜びを、開催する私たちのほうがエネルギーをもらう見学会でした。
心あたたかく見守って育んでいただき、『誕生と成長の家』らしいお施主様あってこそ。
そして現場で汗をながし伝統構法を頑張って支えてくれた棟梁松本さん、左官越智さん、その他数多くの下支えがあってこそです。
本当にみなさん、どうもお疲れさまでした。。




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