古民家の劣化調査。。

 

年賀状や御節の予約販売の言葉が聞こえてくるような季節となりました。
あまりの一年のあっという間の速さに恐ろしさを覚えますね(汗)。
今年はとくに古民家の調査が多かった野の草設計室です。
それだけ今あるものを大事に使っていこうー、古い物が大好き、古民家に慈しみのある人が増えてきたという事でしょうかね。。
昔ながらの伝統構法をやっている野の草としてもとても嬉しいことです。

そこで、古民家をなおそうという風に思い立ったときに、まずは建物の劣化調査をおすすめします。
劣化調査?
聞きなれないかもしれませんが愛媛県が勧めている耐震診断ともすこし違います。
耐震診断が体力測定としたら、劣化調査は健康診断みたいなもの。
古民家をなおそうという時に、まずは「キッチンを改善したい!」とか「この二間をワンルームにしたい!」とか「冬が寒いのでなんとかしたい!」とか「二世帯で使えるようにしたい!」とかいった風に、それぞれのご要望がありリフォームを検討されます。でも案外家主さんというのは長く使われてきた我が家の健康状態を理解されていないことがほぼほぼです。使い勝手とか目で見てよくわかる不具合には「ここはなんとかしなきゃ!」っと考えられますが、目に見えない我が家の『家』の健康状態の本当のところはあまり気づかれないことが多いです。そしてリフォーム工事を始めてから大きな病気があることに気がつくことも多く、後から予定外の出費が過大に掛かってきます。
古民家をなおす時に、やはり出来るだけ後からの予測外の出費をなくしていくことと、そして前もって家の劣化(健康)状況を把握しておくことで、予定するご予算をどこにどう使っていくべきかという、住まい手さん自身の判断材料となります。
リフォームに際して自分たちの要望としての「ここは直したいな」と思っているところと、劣化していて”直しておくべきところ”の両方が見えていると、予算に対する優先順位がしっかりと見えてきます。
そのうえできちんとリフォーム計画を立てられることをお勧めしています。

劣化調査は、人間で言えば人間ドックにはいって見てもらうようなもの。
長く住み継いできたような古民家はあらゆる問題を抱えていることが多いです。
建築の専門家の目で、家の劣化具合や時には改善点がないか調査していきます。
あるお宅では、床下の水はけが悪く雨水が入り込んでいて、床下の土台や木材たちはビッショリという湿りようでした。これはこの先長く暮らしていくうえでは、腐りやシロアリをまねく恐れがあり早く改善すべき診断でした。
またあるお宅では、家を支える主要な柱1本に荷重がかかりすぎて柱が座屈をおこしていました。
その柱1本で上屋が支えられていた為、大きな地震がきて、その柱が折れたら家が即時に倒壊するという内容。これは建てた大工さんの問題でした。
屋根の水仕舞いが悪い造りだったり、骨粗鬆症になった木材だったり、雨漏りがしている、構造的にマズイ造りなど・・どのお宅も些細な事から、早急に対応すべき事まで、いろいろとあります。
でもなかなか素人さん眼では気がつかないものです。

じつは先日、病院嫌いの私も、持病の股関節痛のため病院でMRIの診察をしました。
見えない私の身体の内側を、隅々まで調査するMRI。結果、股関節痛どころか、思いもよらぬ腫瘍の影を発見して、急遽、整形外科ではなく婦人科にまわされることに。一時はちょっと最悪なことをイメージしてしまいましたが、検査で大事に至らず。ほっとしました。
今回、自分の身体のことなのに、素人の私には何がなんだか分からない状態。そこをやっぱり専門家として身体を診て悪いところを発見してくれるお医者さんって、本当に心強いなと思いました。
このときに、私のやっている劣化調査が頭でダブりました。
身体をみて素人さんでは知ることの出来ない悪いところを調べていく、私の仕事はまさにお家の住医師さんです。悪いところがあれば、どういった処方をしていくか、家主さんと相談しながらそのケースごとに処方箋を出していく。
表面だけを綺麗にお化粧直しをして繕うのではなく、これから先も長く住まえるように。。
やっぱり野の草設計室のしごとはやりがいのある仕事です!
古民家の修繕を考えておられる方、ぜひ劣化調査をおすすめいたします。

<参考>劣化調査・報告書作成 1棟5万円~9万円
(建物規模・調査場所等による。土壁木造の古民家が対象。目視範囲での調査。)
※解体調査がともなう場合は別途お見積となります。
※耐震診断も別途お請けしております。

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