こだわりのイ草をもとめて土佐へ。。

 

畳表をもとめて高知へ行ってきました。
っと言っても、私が探しもとめている貴重品種を育てるイ草農家さんは全国でもほんの僅かです。まさか愛媛と高知というこんな近くにいるなんてとは思いませんでした。

実はずっと畳屋さんを通して、耐久性に富む貴重品種である『せとなみ』を栽培する農家さんを探していた私たち。
もうそんな品種のイ草を栽培しているところなんて貴重な存在なのです。
この頃の畳表は出来た時が一番綺麗で、しかし昔のように使い込みに耐えて使えば使うほどに黄金色に艶が出て美しくなるような畳表を、入手することが難しいのが現状です。
「えっ!使えば使うほどに美しい黄金色に変わって艶が出て擦り切れや磨耗に強い畳なんてあるの??」っと言う声が消費者から聞かれそうですが・・、この声自体が畳の評価が下がりきってしまったことを物語ります。

実は畳屋さんの多くは、出来た時の見栄えの良さを一番に気にされます。ほんの少しの色妬けや褪せなど均一性に欠くような表は評価が低く、如何に全体的に均一な青さ美しさであるかが最優先だと考えている、それが今の畳業界です。
(う~ん・・これは畳だけでなく建築業界全体の業種に言えることでしょ・・)
イ草の見た目の綺麗さ追求するために灯芯が十分に詰まりきらない若い時期で青々したイ草を刈り取り、また見た目の良さや栽培のしやすさをもとめて繰り返される品種改良は、そこにあった畳表として無くして欲しくない中身を二の次としてきたと言えます。
でも畳が出来た時が一番美しい・・・・実のところ私たち消費者が本当にもとめる畳表とは、それはちょっと異なる方向性だと感じるところです。出来たときに綺麗だというのは有難いことではありますが、優先順位としてはやはり使ってなんぼの世界です。使い始めたら、どんどん磨耗して摺れて、色合いも青かった時点が一番美しいかったのでは・・そもそも話になりません。畳なんてこんなモンか・・やっぱりフローリングのほうが良かったとなります。たまにしか使わない部屋が畳なら綺麗だけで良いのかもしれませんが、広めていきたいのは畳を主居室として使う畳のある座の暮らし。そのためには昔のように使用に耐えるしっかりと長持ちする畳でないといけません。
昔はもっと使い込みに耐えて使えば使うほどに黄金色に艶が出てその表皮に、畳の心地よさや美しさ良さがありました。

今回訪れたイ草農家さんの野村和仁さんは、頑なに昔ながらにあった畳表の良さを守ろうと努力されている方であり、お会いしてその生き様や物の考え方など共鳴するものを感じました。
貴重品種である『せとなみ』を使った白系の表は、今の見た目重視の畳業界での評価は小さく、あまり栽培してもお金にならない。よって多くの農家さんは「畳表としての昔ながらの白系品種」ではなく「売れる新種」に乗り換えてきたそうです。
なら?どうしてお金にはなりにくい品種を栽培しているのかと言うと、そこには今の時代のお金では評価されない良い物、失ってはいけない物があるからだと言う想いが野村さんにあるからです。売れるための青さではなく、灯芯が詰まって表皮が厚く硬くなるまで収穫を遅らせることで高まる耐久性。それは見た目の綺麗さで売れるものを作るのではなく、畳表として長く丈夫にもつ昔本来の良さを受け継いだ物を作るという姿勢があります。
なんだか私のやっている伝統構法の家づくりと同じだと感じました♪ 
野村和仁さんが栽培するイ草は在来種の遺伝子を多く残す昔からの品種『岡山3号、せとなみ』で栽培されているため表皮が厚くて硬く、灯芯が詰まっていて、全国で生産されている畳表の中でも他の追随を許さない耐久性を誇るイ草です。

「お客さんを裏切れない、お客さんに満足してもらいたい」という想いから、頑なに栽培をつづけているのが野村和仁さんの『岡山3号、せとなみ』での『土佐表』。卸店やセリという既成の流通に疑問を抱き、何とか流通に頼らない販売をしていきたいという想いから自ら営業販売をしていますが、その販売方法にも共感したところです。
いくつもの卸店を経由していく建築業界全体の流通システムには、私自身もずっと疑問を感じてきたところです。
生産者や作り手の想いやこだわりが現状の既成の流通システムでは届かない上に、本来作り手に届くべきお金がちゃんと落ちてこないという問題があります。野村さんは「やっぱり折角農家の想いで商品を作って流通に乗せても、消費者に届く間にその想いは打ち消されてしまって、いつの間にか流通業界の思いの商品に変えられてしまう現実がある。卸屋に、農家の代弁者となって農家の想いや商品の本当の魅力を伝えて欲しいと言っても、逆に自分たちにとって売りやすいもの(見た目の良いもの)を作ってくれと言われる。そんなところにやっぱりこう腹立たしさというかやりきれないものがある。」と語られていました。

私たち自身、備後手織り中継表が作られている値段と売られている値段との差に驚愕し、良い物もこれでは欲しい人には手が届かなくなり、貴重な技術も無くなっていくのをただ待つしかないと感じたのも、今の既成の流通システムに問題を感じたから。野村さんのお話はまさに良い物づくりをしようとする作り手が抱える叫び声でもありました

『岡山3号、せとなみ』のイ草をつかった畳表は、高知県でも野村和仁さんの畳表のみ。
表にはその名前が印字されています。『せとなみ』もいいけど、昔ながらの在来種である『岡山3号』はとても魅力的!
私たちも『土間と風の家』に使う畳表を購入してきました♪
せとなみ一番草を使った麻麻ダブルでのランク。一番良いランクの畳表で、なかなか安さ優先で売れない表だそうですけど・・、長く使っていくに相応しい畳表にたかが1枚2000円ほどの増額を消費者は出せないわけではありません。
大切なのは、長く畳の心地よさを知って味わってもらう事、そんな本物の畳を提供していくことこそ、
畳の文化を守っていくことになりますからね!
この表が『土間と風の家』に使われて、そして時とともに黄金色に変化し艶が増していく姿、そういった光景を心待ちにできるのも畳がある楽しみの一つかと思います。

野村和仁さんの畳表を購入したい方は!
まずは土佐観光styleにお問い合わせください。
そしてまずはこのページをチェック♪
↓↓
https://www.tosa-k-style.org/tosaigusa-real

家づくり塾でも、この畳表を知る機会をぜひつくりたいものです。。
高知ツアーか~

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