自然の猛威に備えて。。

 

暑さにかまけてブログを怠り中(汗)・・です。
先の豪雨被害によって、まだまだ各所ではこの猛暑のなか復旧作業が続いているようです。
主要な公道はほぼ改善されたものの、個人宅レベルや小さな集落ではまだまだ十分に手が行き渡ってないところも多いと聞きます。
またそのわりに・・知り合いの業者さんのなかには重機を使って土砂排出のボランティアを申し出るにも、支援のためのマネージメントが出来ていないために断られ行き場がないという状況も出ているようです。私のほうも今回の被害で何軒かお宅を拝見させて頂きました。

浸水被害に対してどのように処理すれば良いのかといった相談内容でしたが、見させて頂いたお宅はどれも床下浸水で、基礎までの浸水で、土台などの木材が塗れずに済んでいたので、まだ処置が簡単なほうではありました。
それでも床下を覗くと、通気口もあまりなく床下は真っ暗で空気が澱み、乾燥のための通気が十分でないため床下を乾燥できないという状況のお宅がありました。この暑さですので、当然このままだと長引く湿気によって、床下木材や床の合板類に湿気が行き渡りカビや腐朽菌の繁殖が考えられます。

ひとまず十分な通気が出来てないので、早急な乾燥のため畳下の下地板は全て取り外し、扇風機などで強制的に風を動かすことを指示しましたが、フローリングの下の隠蔽された空間はそう簡単にはいきません・・。断熱材まで水が浸かっている場合はさらに対処の難易度があがります・・。ここが現代の住宅の大きな問題点でもあると、こういった状況下に置かれると良く見えてきます。

昔の家は、高い床下で床下に風が抜けることを旨としています。通常時も床下の木材を常に健全に保つための造りですが、こういった自然災害時には先人たちの知恵の深さをさらに思い知らされます。
昔ながらの家は、水で落ちた土壁さえも、塗りなおせば容易に修復できます。柱や梁が露出した現しの構造であるからこそと言えます。断熱材が入り柱や梁が隠れた現代の家の造りは、こういった災害時には建築に携わる者として本当に悩ましい造りだと感じます。高断熱化や高気密化された家や、合板類で造られた2×4のような輸入住宅は、その現状に「自然災害だから・・」と現実に蓋をするしかない面があるというのをその道に携わっている者として感じるからです。
しかし柱や梁が現しになった昔ながらの家は、柱や梁や建具を水洗いし、土を塗り直し、畳を入れ替えれば、頭を抱えて悩むようなこともなく、元の住まいに戻ります。床下は当然、礎石に柱が建つ造りなので土砂を排出したり洗い流したり乾燥するに容易で、幾度もこのような自然災害を経験し、修復修繕しやすいこと至極考えられた造りだと感じることが出来ます。

建築に携わる者として「自然災害だから」と言ってしまえばそれで許されてしまうのだろうけど、やはりそういった事も視野において備えのある住まいを今後も考えていきたいと、被害相談にのりつつ感じました。
今回の被害の有無には関係なく、床下に風が抜けないというのは家の耐久性のためにも良くない状況なので、浸水被害を機に、今後の家のことまでを考え、床下の乾燥方法と通気確保の仕方を提案し帰ってきた次第です。

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