CSはうす そして昔ながらの家づくり

 

水面下で静かにすすんでいた『CSはうす・H邸』 待ちにまった建前となりました手
CS= Chemical Sensitivity:化学物質過敏症
そう、今回の家づくりは化学物質過敏症者の家づくり、避難住宅です。
Hさんとは、以前からの長いお付き合いで、私たちが身体にも優しく安心して暮らせる昔ながらの住まいづくりを目指しはじめた頃からのお付き合い。ご縁あっての出会いでした。私たち自身にとっても安心できる住まいを造っていくうえで、Hさんとの出会いは化学物質過敏症者を視野にいれた家ということで、さらなる厳しい視点での良きアドバイザーとなって頂いています。化学物質過敏症者の生のお話を耳にすることで、建材を安易に使うことの戒めとなりますし、家づくり塾でもお話いただいたりと一般の方々にも化学物質過敏症の恐ろしさを知っていただくきっかけにもなっており、今回そんなHさんの住まい、避難住宅になります。
本当に最小限の小さなお家だけど、安心して暮らす、という家にとって当たり前なことがこの家で一番にもとめられること。そして今の住宅事情ではそれが一番の難しい課題となっている部分でもあります。
昔は、すべて自然の素材だけで家が作られ、化学物質に苦しむこともありませんでした。しかし今は化学物質なしで家をつくるなんて皆無に近い状況です・・ 昔ながらの家づくりの知恵を使いながらCS患者さんのための小さな避難用のキット住宅ができないか・・そんな話がHさん自身の家づくりの始まりとなったのです。

今回キット住宅とまではいかなかったけど、Hさんと私たち設計者の想いが詰った小さな家になります。
安心して暮らせる、化学物質過敏症者の小さな家実現の手始めとしての自分の住まいをつくりたいHさんと、
どうせ造るのならパッパッと簡単にできる安易な家にはしたくない設計者・・この小さな家づくりをとおして少しでも若い職人さん大工さんたちが技術を学べる場としての踏み台となって欲しいと願ったのです。昔ながらの技術や知恵が受け継がれてこそ、安心できる住まいが繋がっていけれるのです。だからこそ家を建てることが育むことであって欲しいと願ったのでした。
ふたりの想いと願いは重なって、この小さな家づくりとなります。

さて、CSはうす、小さい家だけど仕事は一人前です
継ぎ手・仕口に一切の妥協はありません。妥協がないからこそ、若い大工さんたちは学んで技術を磨いていけれるのですよね手
今回、墨付けから刻みを任され、初の棟梁を務めたのは越智のんちゃん。のんちゃんの初舞台となってくれて設計者の想いも叶いました 。 そして初の建前デビューとなったリン太郎くんにとっても、一生忘れない建前となったことでしょうキラキラ

建て方は石場建てという、石のうえに建てるという昔ながらの方法です。
これこそが日本の気候風土のもとで培われてきた構法であり伝統構法であります。
石の上に載っているだけ?揺れて危険ではないの!?と思われるかもしれませんが、つい数十年前までは当たり前だった構法で、実はコンクリートの上に家が建ち始めたのは長い歴史のうえではごく最近の事。
地震があたりまえだった日本の家にとって、基礎に緊結しないこと、石の上で柔軟に動くやり方こそが地震の力を柔軟に受け流すことができる知恵のかたまりだったのです。柔軟に揺れ動くことができるというのは建物の骨組みにも負担がかかりづらいのです。
コンクリートの基礎に緊結すれば、地震動はダイレクトに骨組みに伝わり、その強い揺れに上屋は振り回されることに・・ちょっとイメージすれば分かる事。だから現代の家は、上屋も動きづらいように、たくさんの金物で柱や梁を縛り、壁も固めていくのです。しかし諸刃の剣・・予測想定外の力がかかれば脆く崩壊してしまう造りでもあります。
石の上で動く石場建て、動くからこそホゾが簡単に抜けるようではいけません。しっかりした仕事が求められます。
土台や床下の梁さえも大きく、しっかりとして家が揺れ動いても家全体がバラバラにならないように。窓の上の鴨居や敷居さえも梁のように大きく、家全体を粘り強い造りにしていくのです。また筋交いや合板の家のように壁は固めず、貫と土壁のつくりによってこちらも柔軟に動くことを基本にします。そうやって家全体が柔軟でありしかも粘り強くすることで地震の力を逃がせつつもたせていく知恵があるのです。
そうやっていつ地震がやってきても安心して住めるように先人たちが編み出した備えある住まい。

こちら建て主さんのお母さんも基礎石だけが据わった時点では・・「強い海風で家が飛んでいくのでは!?」と言っていたのが、この威風堂々とした骨組みを見て、無意味な心配だったと感じたご様子手
さらに土壁や瓦が載ってきますので、心配無用♪

それと基礎のコンクリートに家を載せないことで、床下は風がよく吹き抜ける♪
そう見事!家の床下は一番湿気が溜まるところ。こうやってよく風が通れば家の要の足元は100年200年たっても大丈夫。白蟻も来づらいし、点検のし易さは家の寿命にも左右します。先人たちはこうやって自然の摂理を読み解きながら、安心して永くすめる家を建てていたのです 現代の私たちが見習うべきところだと思います。

そしていつも思うに、見ていて美しい。。
すべては自然の美しさがそこに映し出されていく家づくり。
自然に逆らうことなく、自然に寄り添いながら生きていく、そんな家づくりがここにあるからハート

最後に建て主さんにも込み栓を打ってもらいながら無地上棟!
いつもながらに良いお仕事をしてくださる小林建工さんに感謝!良い建前になりましたハート

「やっと想いが形になりましたね」と、Hさんに。
CSという病気を持ちながら、安心して住める家を探し求めることはどんなにか険しいことだったか。きっと今までの長かった道のりでの想いがいっきに込みあがってきたのでしょう。
涙がぽろ・・。。

そしてまだ全国には多くの困っているCSの方々が・・
少しでも安心して暮らせる住まいに、光が当てられるよう私もがんばっていきたいですハート
Hさんに喜んでいただき、久々に明日への活力をいただいた感じ手
CSはうす、まだまだ手探りですが、お楽しみに手

Hさんが運営される化学物質過敏症・電磁波過敏症者のための会です。
えひめCS・ES患者の会
http://mixhanabi.blog106.fc2.com/

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