三和土しごと。

 

さて『心地よい家』、梅雨の晴れ間を利用して玄関先の三和土(たたき)しごとが始まりました。
いまどき玄関先というと、タイルかモルタルが一般的でしょうが、
昔ながらの三和土のよさは、やっぱりその風合いにあります。
先の古瓦と同様に、木と土の家にしっくりと馴染む優しい風合いは三和土(たたき)だからこそ。

ただなかなか三和土を施工できる左官さんも愛媛では少ないのが現状です。
粘土質の土と砂利と消石灰と、にがりと水。
シンプルですけど、シンプルだからこそ土の質が大きく左右するところだそうです。
『土』と言っても、一言では言い尽くせないぐらい土の質は、巾がひろく奥が深い。
粘土質と言っても、そのなかでまた砂分がほんの少し多いとか、粘りが少ないとか、私にはまったく分からないレベルです。
そしてその都度都度の微妙に異なる土の質に合わせて、配合も変えなければいけないそうです。
この頃は、昔のように安定した土質の土が採取できないようで左官さんも泣いています。

三和土は、消石灰とにがりの働きで化学的に硬化させてしまうと言っても、セメントのような強固に硬化する素材ではないところがその良さです。
柔らかい風合いとはまさにカッチンコッチンのコンクリートの様ではないからこその風合い。呼吸するのもそのおかげ。
しかし硬すぎたら脆く、柔らかすぎたら摺れやすいと言った相反する微妙な加減が、土質という自然のもの相手でもあって一番むずかしいのだそうだ。
大工さんが木に精通する職人であれば、こちら左官さんは土に精通する職人さん。
それぞれ職人さんは自然の素材の癖や性質をよく知っていて、それを生かそうとする仕事。
しかし自然の素材も万能な素材ではないため、木だったら割れたり縮んだり。土もカッチンコッチンではないため、乱暴に扱えば欠けたり傷ついたりもする。
そこを現代では、木は接着剤で固め、土も接着剤で固め、素材を殺していく手法が取られていくけど、そうなるともはや、その素材の持ち味や良さ風合いはない。

↑さあ、これで完成でなくて、ここから2ヶ月ほど養生して、ゆっくり化学的な硬化を待って土間が完成します。
忙しい時間のない現代では、瞬時に固まるものが選ばれるというのは、こういった事から。。
でもやっぱりこの三和土の心地よさにかなう物はありません。
残していきたいものです。

関連記事

PAGE TOP