誰かがやらねば・・誰がやるの?

 

ずっと以前から重度の化学物質過敏症の方の相談を受けていて、
日々の仕事に追われるなか、昨年から少しずつ改善のためのお手伝いをしています。

化学物質過敏症(ここから先は”CS”と言います)も軽度の人から重度の人まで、その症状の重さはさまざまですが、今回、重度の過敏症者でもあるOさんは重度の電磁波過敏症(ここから先は”ES”と言います)も併発しており、とても私たちが普通では想像できないような暮らしをされています。もちろん重度ともなれば、あらゆる化学物質や電磁波に反応して町では暮らせませんが、
自然いっぱいの田舎なら大丈夫?
と考えがちです。しかし田舎はさらに除草剤や農薬や消毒などが田畑や山に散布されており、CSにとっては街中と同様に危険であるのです。
CSの人々にとって、本当に安心できる住環境を探すのは本当に至難の業といえます。

重度のOさんも、人里離れた山奥でひっそりと一人で暮らされています。人との交流は容易なことではなく、Oさんにとっては私たちと遭って話をするだけでも、その後数日間は体調不良になってしまうぐらいです。(私たち自身は一般の方々と比べてかなり化学物質を使わない暮らしはしている方なんですが・・)
お医者さんに行けば?
と思われる人がいるかもしれないですが、いえ、重度となると病院そのものも有害で危険な場所です。病院はありとあらゆる化学物質の宝庫みたいな場所でもあるのです。病気になっても簡単には病院にいって診てもらえないのがCSの病気・・。これといったCS・ESの治療方法もまだないのが現状です。(CSの病気そのものを診てもらえる病院は全国で数軒ありますが)

そんなOさんの暮らし、以前訪れた時は真冬の寒い時であったのにも関わらず、家の窓は開け放って、そして靴下もはかず下駄のみといった格好でした。聞くところによると、化学物質を体外に排出(デドックス)していくなかで、自分の身体から排出されていく化学物質に反応して体調不良を起こすため、窓は冬であろうとも常に開けっ放しとの事アンパンマン
暖をとるための暖房機は、石油も薪も炭も電気もすべて体に障るため、湯たんぽのみ。しかも靴下を履いていると、身体から排出される化学物質が留まってしまうので、真冬も靴下は履かないほうが楽という・・過酷な暮らしをされていたのでした。私たちが考える以上に、とても困難で厳しい生活をされているのがCS・ESの方々なのです。こういった普通の生活困難な状況にありながら行政の支援の手がまだ差し伸べられていないという現状に、私たちは本当に目を向けていかなければいけない事だと思っています。

私が行った頃は、食べ物や普通の水さえも身体に受け付けず、食事も重湯のような物を少し口にする程度だと言われていましたが、最近では食べる事のできる物も少し増えたようで、少しずつ体の化学物質が排出され体調が改善されている様子でありました。
しかし一方で体調不良の原因となっているものもありました。雨漏りによる腐食・カビなどによる体調不良、そして大型連休の際に田舎に遊びにやってくる人達が持つ携帯や、電波の強いスマートフォンが放つ電磁波。治療のために探した可能な限り安全な場所も、これによって蝕まれていっています・・汗
これらを改善せねば、今後の体調改善にも影響が出るという事で動くことになったのです。しかしこういった病気を抱えながら働くのは不可能であり・・お金のかからない方法で改善策を施さなければいけません。これはかなりの難題です汗
また重度となるとあらゆる自然の素材にも反応してしまうので、素材そのものも限定され、そのなかで改善策を打たねばなりません。Oさん自身はセルフなど当然できる体調ではなく、安心できる住まいの確保は本当に容易いことではないのです。

外壁は金属板が張られており、窓からはいってくる電磁波をどう室内に進入させないようにするかが課題です。頼りは感度抜群のOさんの身体そのものです。ひとつひとつ検証が進められます。そしてもう一つの課題・・・光過敏・・アンパンマン
Oさんは電磁波過敏とともに光過敏もあります。その光過敏の対策としても、光が室内に入らないようにというさらなる課題が・・。
その他、室内には私たちが化学物質を持ち込んでしまうので入れない事、外からの高所での危険な作業である事。光も避けたいが室内への風通しができる事。容易にこれらを外せる事。台風の強いところなので落下しない事、などなどCS・ESでなければ難しくない事も、ひとつひとつ頭を悩ませます。

幾度とない打ち合わせやサンプルを取り寄せにより、結果、銅のネットを使用する案に決まりました。銅は電気を通しやすい素材です。以前から網戸の金属が電磁波対策には有効であることは知られていますが、この銅金網を使って室内に入って来ようとする電磁波を銅で拾い集めて、アースで大地に流すことにしました。


↑現状。Oさんも電磁波対策に自分で金網を窓に張られていました。

そしてお金もないなかなので、最低限の銅や金物購入するにもお金がかかりますが、ひとまずうちの徳さんが残材や廃材などを利用しながら製作するという事に。こういった特殊な事になればなるほど職人に頼めば、打ち合わせに行ったり来たりだけでお金も無くなってしまいます・・。何せOさんところまでに往復7時間もかかってしまうのですからアンパンマン
ありがたいことに加工場などは実家の関係で使え、素人製作はほどほどに出来るのですが、我が家もリフォーム中で猫の手もかりたい最中でもありますが・・。
Oさんの電磁波対策は片手間では出来ないこと・・、
誰かがやらねば・・誰がやる?といった状況アンパンマン時間を割きつつで少しずつ製作や段取りを進めていくことになったのでした。(つづく)

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