静かに熱い刻み中。。

 

『風薫る家』の刻みが、静かに進行中です。
「お金に囚われて、職人としての心まで失いたくない。」
そんな若き棟梁との出逢いにより、
今回昔ながらの家づくりをお願いすることになった『風薫る家』。
棟梁としては始めての大仕事になります。昔ながらの家づくりは熟練の大工さんにとっても大仕事であり、きっと大きなプレッシャーもあるでしょう。
しかし私としては未来に繋ぐべき次なる世代を育てていくことが家づくりの最重要課題でもあります。熟練の年寄り大工に任せる方が、設計者としてもお気楽に安気でいられますが・・しかし若い世代が育っていかなければ一時の安泰でしかありません。それは今の家づくりの現状を見るにつけ今生きる人がしっかりとしなければ先がないことを感じてしまうからでもあります。
安く早く手間を抜いて効率優先で家づくりがされてきた現代、職人本来の技術や智恵は確実に失われていってます。みな日々のお金の仕事に追われ、足元をみる余裕がないのです。いずれ家づくりでは職人と呼べる人はいなくなって、既製品やメーカー住宅しか建てられない時代が来てしまうだろうと・・・危機感を感じています。

同時に・・それは自然に寄り添いながら生きてきた私たち自身の生き方そのものを失うことを意味しています。失えば・・この地球において私たち自身も生きられなくなる事でしょう。

昔ながらの家づくりは、技術を繋いでいくための貴重な場だと思っています。仕事の機会を与えることで職人さんたちは生かされます。生きる環境がなければ、生命と同じく死んでいきます。
この愛媛でこれから先もずっと、木と土の自然にも人にも優しい循環していく住まいを、子供たちへと繋いでいくためにも、一軒一軒の家づくりを通しながら職人たちを育てて遺していかなければと思うのです。。

建て主さんにとっても本当は熟練大工さんの方が気持ち的に安泰でしょうが、誰しも”初めて”を通り越して成長していくもの。懐を大きくして見守ってくださっています。
そう、、昔ながらの家づくりを取り戻すために家づくりを始めた当初、若き私たちをずっと見守って育ててくださったのも、建て主さんの大きな懐があってこそでした。そのことに今でも感謝が耐えない思いでいます。
そして今でも昔ながらの家づくりは常に『育ての場』には変わりません。家づくりそのものまだまだ成長をしていっています。課題もあります。そして先人たちの物づくりの域に到達するには、まだまだ。
家づくりそのものを建て主さんと共にえていく育てていく、それが昔ながらの家づくなのです。

水木棟梁の相方として家づくりに関わってくれている大石さんも、職人としての熱い志をもたれている方。今どきの家づくりに嘆きつつ、お金よりも良い仕事をしたいという思いで日々おられて、ご縁の導きがありました。こういった若者がまだまだ何処かに残っているんですよね。
若き二人の純粋さが引き合わしたと言いましょうか、いえ目指す方向が同じだから出会わせたのでしょうね。二人ともこの大仕事を前にプレッシャーもありつつ、でも「勉強になる。ありがたい。楽しい!」と言ってくれます。

刻みもとってもとっても丁寧 見えなくなるはずの仕口も隅から隅まで「綺麗~!」と声にあげてしまうほど。時間はかかりますが本当は見えなくなる部分がもっとも大事でもあります。こういった手間暇を惜しまず仕事をしてくれるという事が、一番に家のため建て主さんのためにもなるんですよね。
ひとつひとつを大事にしてくれながら出来上がる家、それが建て主さんのためにならないハズがありませんよね。

「丁寧な刻みをしたから家が高くなる」という事ではありません。多くの人は誤解をしています。
職人として自分が許せる自分が納得する仕事をする。職人さんとしてはただそれだけなのです。その気持ちはプライスレスなのです。それが本物と言える仕事、職人だと思います。。
そのための場を提供するか否かは建て主さん次第なのであります。

お金お金と言っている人にかぎって、ちゃんとした仕事ができない人ばかり。
これは職人さがしでつくづく感じた次第です。

お金よりも、まずは心。
心技体の言葉が教えてくれるように、まずは最初に心がなければ技術も浮いてくるし身体にも染み付かない。何事も始まらないのです。それを強く感じます。

心のある職人さんたちとともに、これからの未来ある誇れる家づくりを
和(輪)になって繋がって広めていきたい。

喜びの灯火が和(輪)になってひとつにつながった時、美しい世界がまっていることでしょう。。
夢みて一歩一歩、心ある者同士が支えあい歩んでいる最中です。。

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